Early October│句読点ミュージック

10月上旬、陽射しの強さは緩やかに退き、しかし日中の空気にはまだ夏の余韻が残る。季節の移行が、視覚や嗅覚を通して曖昧な境界線を描き出す時期である。

この移行期は、情報過多な日常から意識を解き放ち、思考を穏やかに調整する機会を提供する。不確かな感覚の狭間で、内省的な静けさを求める心象が存在する。

#37:ハナレグミ – 心空

永積崇によるソロプロジェクト、ハナレグミは、SUPER BUTTER DOGのボーカルとして活動後、2002年から独自の音楽表現を展開している。彼の歌声は、温かく、かつ深遠な響きを持ち、聴く者の内側に静かに浸透する特性を持つ。

2004年リリースの2ndアルバム『日々のあわ』に収録された「心空」は、彼の初期ソロワークを代表する楽曲のひとつだ。タイトルが示唆するように、心の空白や広がりを音像で描き出す。

アコースティックを基調としたサウンドは、繊細なメロディと永積の朴訥とした歌唱が融合する。聴覚に訴えかけるその柔らかな質感は、日々の喧騒から離れ、静かな思索の時間をもたらす。

#38:細野晴臣 – Stella

細野晴臣は、はっぴいえんどやYMOでの活動を経て、ロック、エキゾチカ、アンビエントなど多岐にわたるジャンルを開拓した音楽家だ。50年以上に及ぶキャリアの中で、常に革新的なサウンドを提示し、後世のアーティストに多大な影響を与え続けている。

「Stella」は、高橋幸宏とのユニットSKETCH SHOWの楽曲のセルフカバーであり、細野晴臣のアルバム『Yours Sincerely』に「Stella (Yours Sincerely Version)」として追加収録された。この楽曲は、亡き盟友への深い敬意と記憶を内包している。

電子音とアコースティックの要素が融合したサウンドスケープは、夜空に瞬く星々を想起させる。ミニマルでありながらも空間的な広がりを持つ音像が、聴く者を静謐な瞑想へと誘う。

蛇足だがどうしても見たくて。

この記事を書いた人

妻と愛犬ジェイド(女の子)と暮らしています。 老眼鏡を新調したのを機に、積読していた本を少しずつ読み始めました。

派手な生活ではありませんが、犬と眼鏡と本と音楽とコーヒーあれば十分。そんな日々の断片を、記憶がわりに書き留めています。