
■ Late July Resonance:都市の鼓動と調和するサウンドスケープ
情報過多な日常において、思考のノイズを低減し、ニュートラルな状態へ導く音楽は、静謐な調律をもたらす。今回は、デジタルとアナログの境界で独自のサウンドを築き上げてきた2組のアーティストの作品を紹介する。彼らの音楽が織りなす微細なテクスチャーと、都市の情景が重なり合う瞬間は、聴覚を通じて感覚の再構築を促すだろう。
#25:tofubeats – Too Many Girls feat. KREVA
tofubeatsは、1990年兵庫県神戸市生まれの音楽家、DJ、プロデューサーである。
14歳で音楽制作を開始し、インターネットを通じて音源を発表してきた彼は、Maltine Recordsを経て2013年にワーナーミュージック・ジャパンよりメジャーデビューを果たした。ヒップホップ、ハウス、エディットといったジャンルを横断し、中古のCDやレコードのサンプリングとPCを駆使した楽曲制作を特徴とする。彼の音楽は、インターネットカルチャーと神戸の都市環境に深く根ざし、そのメロディアスなサウンドで広く支持されている。
「Too Many Girls feat. KREVA」は、2015年発表のアルバム『POSITIVE』に収録された楽曲である。この曲は、tofubeatsがKREVAにトラックを送る形で制作が始まり、KREVAがそのデモに素早く反応し、歌詞を乗せたボーカルが返送されることで完成したリモートコラボレーションの成果である。
KREVAの歌詞には「FREE Wi-Fi」といった言葉が盛り込まれ、tofubeatsの世界観と融合している。『POSITIVE』というアルバムタイトルが示すように、この曲は速度感とポジティブなエネルギーに満ちたサウンド構造を持つ。
電子音とリズミカルなビートが重なり合い、そのダイナミックで洗練された音像は、周囲の喧騒を抑制し、聴覚に明瞭な響きを投写する。緻密に構築されたリズムとテクスチャーは、思考を特定の地点へと誘導し、流動的な時間の流れの中に静かな集中を生み出す。
#26:星野 源 – 2 (feat. Lee Youngji)
星野源は、1981年埼玉県生まれの音楽家、俳優、文筆家である。インストゥルメンタルバンドSAKEROCKのリーダーとして活動後、ソロアーティストとしても多様な音楽性を展開してきた。
彼の音楽的ルーツは、マイケル・ジャクソンやアース・ウィンド・アンド・ファイアーといったブラックミュージックにあり、ファンク、ソウル、R&Bの要素を基盤とする。その一方で、日本人の感性に合わせた独自の「イエロー・ミュージック」を追求し、DAWを用いた楽曲制作を通じて、ポップス、フォーク、ダンスミュージックの境界を軽やかに横断している。細野晴臣やYMOからの影響も公言しており、その音楽は常に進化を続けている。
「2 (feat. Lee Youngji)」は、星野源の6枚目のアルバム『Gen』(2025年発表)に収録された楽曲であり、韓国のラッパーであるLee Youngjiとのコラボレーション作品である。星野がプロデュースを手掛け、作詞・作曲を両者が共作、アレンジを星野が担当している。
Lee Youngjiは以前から星野のファンであることを公言しており、両者の交流からこのコラボレーションが実現した。歌詞には日本語と韓国語が織り交ぜられ、文化的な背景の融合が表現されている。
また、「1+1は必ずしも2ではなく無限大になる」という数学的な比喩を用いて、2人の力が合わさることで無限の可能性が生まれることを示唆している。この楽曲は、重層的なサウンドプロダクションと普遍的なテーマ性を持つ。
リズミカルな構造と有機的な響きは、聴く者の意識を穏やかに揺らし、内的な調和を促す。その音響的な奥行きは、日常の事象から距離を取り、思考の焦点を再調整する契機となる。
