
その日の気持ちに区切りをつける「句読点ミュージック」を選んで紹介。
16:blend house —— edblのグルーヴと交差する、都市の静寂とソリッドな質感
サウスロンドンのプロデューサー兼ギタリストであるedbl(エドブラック)をプロデューサーに迎えた本作「すだち」。
edblのルーツであるネオソウルやローファイ・ヒップホップに裏打ちされたオーガニックなギターリフと、blend houseが紡ぐフラットなボーカルワークが交差する。ロンドンの空気と東京の静寂を繋ぐような、無駄を削ぎ落としたビートは、極めて自然体なグルーヴ。
edbl特有のレイドバックしたコード進行に対し、淡々と乗せられる言葉は過度な感情を排しており、モノクロームのフィルムのようなざらつきと、確かな芯のあるモードな佇まいを提示する。
J-Hip Hopの文脈を汲みつつもジャンルに縛られないサウンドスケープは、現代において思考をニュートラルにチューニングするための装置として機能している。
17:野口 文 —— 日常の輪郭をなぞる、体温を帯びたアコースティックの余白
シンガーソングライター・野口文による楽曲「おんぶに疲れて」。
日常の些細な疲労感や生活の断片を、アコースティックギター主体のミニマルな編成と飾らない言葉で切り取った一曲である。彼のルーツにあるフォークやインディー・ポップの文脈を感じさせつつも、過度な装飾を排したサウンドは、都市生活における静かな余白を生み出している。
タイトルが示す通り、ここにあるのはドラマチックな物語ではなく、淡々と続く現実のスケッチ。モノクロームのフィルム写真のようにざらつきを持った声の質感は、聴き手の感情を無理に誘導することはない。
体温を帯びたローファイな響きが、ソリッドな日常に確かな句読点を打っていく。
18:Daichi Yamamoto —— 鈴木真海子のフロウと溶け合う、都市のノイズを中和するメロウなビート
京都出身、ジャマイカと日本のルーツを持つラッパー・Daichi Yamamotoによる「No More feat. 鈴木真海子」。
必要最小限の音数で構築されたメロウなトラックは、都市の喧騒から距離を置き、無機質でソリッドな生活の余白に干渉することなく、ニュートラルな自分を取り戻させてくれる。R&Bやネオソウルの文脈を色濃く反映したボーダーレスな彼の音楽性に、鈴木真海子によるレイドバックしたフロウが交差する一曲。
モノクロームの映像を思わせる抑制の効いたサウンドスケープのなかで、二人の声は過剰な熱を持たず、淡々と日常の断片を紡いでいく。
