
17時に一旦その日の気持ちに区切りをつける「句読点ミュージック」を選んで紹介。
04:Bialystocks —— 映像とジャズの文脈が交差する、ジャンル不詳のグルーヴ
2019年結成。映画監督や小説家としても活動するボーカル・甫木元空(ほきもとそら)と、ニューヨークでジャズを学んだキーボード・菊池剛による2人組。
恩師である青山真治プロデュースの映画『はるねこ』(甫木元監督作)の生演奏上映を契機に活動を本格化させた。2021年に初のアルバム『ビアリストックス』を発表し、2022年に『Quicksand』でメジャーデビュー。
「地図をください」や「クロ」などの代表曲を生み出し、映像と音楽の境界をまたぎながら活動を続けている。
ジャズやソウルを経由した太いビートに、童謡やクラシックを思わせる普遍的なメロディが乗る。
菊池が構築するストレートアヘッドな和声と、映像編集のように言葉を配置する甫木元の詞世界が交差し、ジャンルに収まらない独特の響きを生む。
「灯台」や「日々の手触り」などの楽曲群に顕著なように、過剰な装飾を排した実直なコンポジションが特徴である。その地に足のついたサウンドは、生活の隙間を静かに整える「句読点」として、確かな質感を持っている。
05:Kiefer Trio —— ジャズの和声とヒップホップの揺らぎが同居する、LA発のオーガニック・ビート
グラミー受賞作品への参加歴も持つLA拠点のピアニスト兼ビートメイカー、Kiefer(キーファー・シャッケルフォード)率いるトリオ。
幼少期からピアノに触れ、UCLAでジャズを学んだ彼は、LAのビートシーンと交差しながら名門Stones Throwから作品を重ねてきた。
本トリオは気心の知れたLuke Titus(ドラム)とPera Krstajic(ベース)で構成され、2024年にはLAでのシークレットライブの模様をありのままに収録した初のライブアルバム『Something For Real』をリリースした。
ビル・エヴァンスなどの伝統的なジャズの文脈と、J・ディラ以降のヒップホップ/ビートミュージックをシームレスに繋ぐサウンドが特徴だ。
サンプリングに頼りすぎず、自らの手で奏でる流麗なピアノのメロディと、首を振らせる太いグルーヴが心地よいバランスで共存している。
過剰な演出を排し、「友人のために演奏する」という親密な空気感をパッケージしたトリオのアンサンブルは、張り詰めた思考をほぐし、日常の歩幅を静かに整える「句読点」として確かな手触りを持っている。
06:三浦透子 —— 飾らない声が紡ぐ、日常の風景に溶け込む透明な体温
1996年生まれ、北海道出身。幼少期から俳優として活動し、映画『ドライブ・マイ・カー』など数々の映像作品に出演。
音楽活動においては、2019年の映画『天気の子』でRADWIMPSに見出され、ボーカルとして抜擢されたことで広くその声が認知された。
2020年に初のオリジナル作品『ASTERISK』、2022年にミニアルバム『Blowing』を発表している。
彼女の音楽的な魅力は、映像演技にも通じる「過剰な演出を持たない」ボーカリゼーションにある。
折坂悠太やTENDREといった多彩なミュージシャンからの提供楽曲に対し、自身のフラットで透明な声質を丁寧に乗せていく。
感情を押し付けることなく、ただそこに存在するような彼女の歌声は、散らかった思考を静かに鎮め、日常の歩幅を整えてくれる。
