句読点ミュージック│17時のチューニング

【第1回】新旧のビートで、夜の助走をつける

01:瘋癲 (FU-TEN) —— 有機的なグルーヴが紡ぐ、日常のハイブリッド・ヒップホップ

プロフィールとルーツ 1990年代末から噂され、関西を中心に結成されたヒップホップ・バンド「瘋癲(FU-TEN)」。

90年代半ばのシーンを牽引したNAKED ARTZのMCであるMILI、MONDO GROSSOのフロントマンとして知られるMCのB-BANDJを中心に、DJ集団BEAT TRICKSのDJ SUWA、そしてトラックメイカー/ドラマーのM.FUJITANIらによって始動した。

2003年5月に1stフルアルバム『MUSIC IS EXPRESSION』をリリース。同年秋に中心メンバーであったM.FUJITANIが急逝するという悲劇に見舞われるが、その後もGURO(Gt)などを交えた編成で活動を継続。

『FLIP HOP』(2005年)、『PIECES OF TIMES』(2006年)、『Free』(2009年)といった作品群を発表し、日本のヒップホップ・シーンにおいて特異な立ち位置を築き上げた。

彼らの最大の魅力は、生楽器の演奏とサンプリング・ビートがシームレスに融合したハイブリッドなサウンド構造にある。

ジャズやソウル、ファンクのルーツを色濃く感じさせるオーガニックなトラックの上で、MILIの硬質でテクニカルな日本語ラップと、B-BANDJの流麗でメロディアスな英語フロウが交差する。生音と打ち込み、日本語と英語、あるいはメジャーとアンダーグラウンドといった相反する要素がぶつかり合うことなく、むしろ必然としてひとつのグルーヴに編み上げられている。

単なるジャジー・ヒップホップの枠組みには収まらない、地に足の着いた成熟した音楽性がそこにある。

02:luv —— 揺らぎと洗練が交差する、新世代のネオ・ソウル・グルーヴ

2023年に始動した関西発の5人組バンド「luv」。Hiyn(Vo/Gt)、Ofeen(Key)、Zum(Ba)、Rosa(Dr)、Sho(Gt)からなる。

結成直後からストリートライブを中心に活動を展開し、オーディションプロジェクトでのグランプリ獲得を機に急速に注目を集めた。

ブラックミュージックをルーツとしつつも、Y2Kのオルタナティブな空気感を柔軟に取り入れたサウンドを展開。「Motel」や「Gumiyun ah!」などの楽曲群をリリースし、早耳のリスナーを中心にストリーミングシーンで存在感を高めている。

ジャズ、ネオ・ソウル、R&B、ヒップホップのエッセンスを、生楽器のアンサンブルによって現代的に再構築している点が最大の魅力である。

タイトでしなやかなリズム隊が生み出す強靭なグルーヴの上を、メロウな鍵盤とギターが浮遊し、Hiynの気負いのないボーカルが重なる。

ソウルフルでありながらも過剰な熱さを排したフラットな温度感は、現行のJ-Hip HopやJazzシーンと並列に聴ける強度を持つ。バンドという形態をとりながらも、ビートミュージック的な構築美を感じさせる緻密なアレンジが秀逸だ。

03:ディープファン君 —— ブラックミュージックの熱源をクールに均す、現代のオルタナティブ・ファンク

ソウル、R&B、ファンクといったブラックミュージックをルーツに持ち、現代的なポップセンスで再構築するオルタナティブ・ファンクバンド「ディープファン君」。

2010年代後半から東京のインディーズシーンを中心に頭角を現し、アンダーグラウンドなクラブシーンからライブハウスまで、場所を選ばない確かな演奏力で注目を集めた。

ファンクが本来持つ泥臭さや熱量を保持しつつも、どこか都会的な冷たさや洗練を纏った独自のスタンスを確立。ストリートの空気感を吸い込んだグルーヴで、耳の早いリスナーからの支持を集め続けている。

彼らのサウンドの核にあるのは、重厚かつタイトなリズム隊が生み出す圧倒的なファンク・グルーヴである。

そこに、カッティングギターのソリッドな響きと、ブラックミュージックへの深いリスペクトを感じさせるボーカルが絡み合う。

往年のソウルやPファンクのエッセンスを感じさせつつも、J-Hip Hopのビート感や現行のネオ・ソウルの揺らぎをシームレスに取り入れているのが特徴だ。

過剰な装飾を削ぎ落とし、それぞれの楽器が鳴るべき場所で鳴る緻密なアンサンブルは、聴く者の身体を自然と揺らす確かな強度を持っている。

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この記事を書いた人

妻と愛犬ジェイド(女の子)と暮らしています。 老眼鏡を新調したのを機に、積読していた本を少しずつ読み始めました。

派手な生活ではありませんが、犬と眼鏡と本と音楽とコーヒーあれば十分。そんな日々の断片を、記憶がわりに書き留めています。